淀川長治:明治、大正、昭和、平成にかけて生涯現役、映画一筋に生きた不世出の映画評論家 - 世界クラシック名画撰集

淀川長治:明治、大正、昭和、平成にかけて生涯現役、映画一筋に生きた不世出の映画評論家
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世界クラシック名画撰集

 

Atacched File

THE RIVER
青春と花の香り、大河の流れ、インド音楽と舞踏のリズム。ルノワール監督のカラー芸術が匂い立つ
陶酔の映像美。「大いなる幻影」「どん底」などフランス映画の巨匠ジャン・ルノワールは、印象派の大画家である父から鮮烈な美術的感覚を受け継ぎ、インドに住む若いイギリス人女性たちの愛の喜びと哀しみをインドの大自然と舞踏のリズムに調和させた。聖なる大河ガンジスのほとりに育った仲良し3人は、アメリカ人青年に心を奪われる。戦場で負傷した彼は自分を見失っていた。そんな人生を見つめてガンジスは悠久の流れをつづける。ハリウッドきっての花屋さんはインド生まれの女流作家ルーマー・ゴッデンの半自伝的小説に惚れ込み、ルノワールに製作費を提供した。主役の女性たちに演技経験は少なく、親たちをイギリス映画の名脇役が固める。
<作品情報>
【淀川長治解説映像付き】
第12回ヴェネチア国際映画祭国際賞
1952年キネマ旬報外国映画ベストテン第4位

 
  • 原題:THE RIVER
  • 監督:ジャン・ルノアール
  • 脚本:
  • キャスト:パトリシア・ウォルターズ/アドリエンヌ・コリ/アーサー・シールズ/ノラ・スゥインバーン 
     
  • 製作年:1951年
  • 製作国:アメリカ

僕の最も好きな監督、ジャン・ルノアール。
この人の『河』。
これやりましょうね。

これは、おもしろいお話なんですよ。
このジャン・ルノアールが、ちょっとアメリカ行ったんですね。
アメリカで『南部の人』とかいろいろ撮ったんですね。
ロサンゼルスの人がみんな、ジャン・ルノアールのファンだったんですね。

「ジャン・ルノアールさんの映画はきれいだなあ。きれいだなあ」ということになって、ロサンゼルスのハリウッドの花屋さんがジャン・ルノアールに会いに行ったんですね。
「どうかルノアールさん。きれいな、きれいな映画を撮ってくださいませんか?ここに資金がありますから。」
ちゃんとお金集めてきたんですね、花屋さんが。

ルノアールは感激したんですね。
「それじゃ僕は、あなた達が好きなような映画ができるかわからないけれども、ひとつインドの映画を撮りましょう。」と、言ったんですね。
インドが一番カラーがきれいだからインドの映画撮りましょう、と言ったんですね。
みんなよろこんだんです。
そうして、『河』は生まれたんですね。

『河』はきれいな映画でしたね。見事にきれいでしたね。
インドの匂いがぷんぷんしましたね。
インドと言うのは、砂で模様を描くんですね。赤い砂、青い砂、黄色い砂で、きれいに、カーペットのように砂で絵を描く美術家が沢山いるんですね。
そのインドで、早春、若い、若い女の子が、初恋のような、愛に対して憧れてるようなお話なんですね。

きれいな、きれいなお話だけど、その中に何があるか?花祭があるんですね。
色祭があるんですね。みんなが手にいろんな色、持つんですね。
赤い色、黄色い色持って、お互いそれ投げあうんですね。それがきれいなんですね。
その中の3人か4人の早春の女の子の一人がインドの女の子なんですね。あとはイギリスの女の子、アメリカの女の子。

そのインドの女の子が、お祭りのためにダンスを勉強するんですね。
ダンスを踊るんですね。
そのダンスのきれいなこと、きれいなこと。
しかも、その女の子がカタカリかカタハリかしらないけど、パッ、パッ、パッと踊る。
握った手が、パッと開くと中が真っ赤なんですね。
いいんですね〜、その踊りがいかにもいいんですね〜。
そして、この映画のインドの音楽がきれいなんですね。
やっぱりルノアール、やっぱりルノアールと思いました。

それを映画館で、チャイニーズグローマン劇場で私は友達と観にいったんですね。
まあーきれい!いいなー!本当にルノアールはいいなあー!、と言ってたら、となりの男の子が、いっしょにいた男の子がガーーーって寝てるんですね。
それ見てから、その男の子には一生僕もの言わなかった。
キライになった。絶交しましたね。

というわけで、この映画よかった。で、音楽もよかった。
日本に帰ってきて、「あー、いい映画だったよ!」って野口久光に言ったら、野口久光が「どんな映画?どんな音楽?レコードもってんの?」。
レコード渡したら、とうとうとられて、野口久光、亡くなりましても、あのレコードは返してくれなかったね。

そのくらい、この『The river』は、『河』はルノアールの名作。
ルノアールはこれを撮ってから、アメリカでいろいろ撮って最後にこの映画を撮ってから、フランスに帰りましたね。何年ぶりかで帰りましたね。
で、フランスで『フレンチ・カンカン』、あの最高の音楽作りましたね。

というわけで、ルノアールという人は、お父さんも立派だったけど、ルノアールの作品も立派でしたね。 

【解説:淀川長治】
 


巨匠ジャン・ルノワール監督が悠久のインドに挑んだ初のカラー作品。ガンジス河のほとりで育った3人の英国娘と戦争で片足を失ったアメリカ青年将校との淡い交流を描く。インドの大自然を背景に、喜びと悲しみを舞踏のリズムに乗せて綴る画面はまさに陶酔の映像美。このあたり印象派の大画家である父の美的感覚を受け継いでいるのかもしれない。ベネチア映画祭国際賞。

 

(解説:岡田 喜一郎)


 

河 [DVD]Atacched File

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