淀川長治:明治、大正、昭和、平成にかけて生涯現役、映画一筋に生きた不世出の映画評論家 - 世界クラシック名画撰集

淀川長治:明治、大正、昭和、平成にかけて生涯現役、映画一筋に生きた不世出の映画評論家
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拳銃無宿

 

Atacched File
拳銃無宿
ANGEL AND THE BADMAN
 
『拳銃無宿』、この題名聞いただけで、本当に映画好きで、映画好きで、映画を一週間に3回も4回も観てる人は、「わぁ、『拳銃無宿』懐かしいなぁ。ゲイル・ラッセル」そう言うんですね。

これ、ジョン・ウェインの映画ですよ。けど、ジョン・ウェインの映画だけど、観る人は、当時観る人はゲイル・ラッセルの顔を見に行くんですね。
というのはゲイル・ラッセルは綺麗な顔なんですね。この、眼が青くってね、なんともすごい眼なんですね。

で、ゲイル・ラッセルが、もっともファンが多かった時代の作品ですね。
で、ジョン・ウェイン、ジョン・ウェインとゲイル・ラッセル、これはウエスタンの、何とも知れん、春の風のような感じの映画ですね。

私はアメリカ行きまして、二流館、三流館でいっぺん映画観ようか思ってね、場末の映画館行ったんですね。
ちょうどジョン・ウェイン週間だったですね。で、ジョン・ウェインの映画やっていると、お客さんに中年のおじさんが多いんですね。
中年のおじさんがいっぱい来て、ジョン・ウェインのタイトル出たら、みんな手を叩くんですね。

「あぁ、こんなにジョン・ウェインは人気あるのか」、私はこの映画は、日本の浅草で観る市川右太衛門の映画みたいな感じね、嵐寛寿郎みたいな感じと思いました。
やっぱりジョン・ウェインは、アメリカのおじさん達の魂だ思ってね、びっくりした事あるんですね。
そういうわけで、ジョン・ウェイン。びっくりしました。

私は、ジョン・ウェインが日本に来た時に握手しましたら、まるで野球のグローヴと握手するみたいに大きな手なんですね。
そうして、「あんたはどんな映画が好きですか?」「イエッサー、イエッサー」ばっかり言ってね、ロクに返事しません、ちょっと一杯、飲んでるんですね。
いかにものんきな、いい男でしたよ。

ジョン・ウェインは、アメリカの国旗みたいな男ですね。
おじいちゃんが、ゲイル・ラッセルは知らないけどジョン・ウェインが出てると、もう本当に立ち上がって、敬礼するぐらいの人気があったんですね。
ジョン・ウェインはアメリカの魂ですね。

大昔、メアリーピック・フォードがアメリカの国旗みたいな娘さんだったように、このジョン・ウェインはアメリカの国旗ですね。
というわけで、いかにもアメリカ魂をもったこのジョン・ウェイン。
アメリカに行って、初めてジョン・ウェインの価値がよくわかりましたよ。 

【解説:淀川長治】
 
 

拳銃無宿 [DVD]Atacched File

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