淀川長治:明治、大正、昭和、平成にかけて生涯現役、映画一筋に生きた不世出の映画評論家 - 世界クラシック名画撰集

淀川長治:明治、大正、昭和、平成にかけて生涯現役、映画一筋に生きた不世出の映画評論家
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大樹のうた

 


Atacched File
大樹のうた
APUR SANSAR
 
巨匠サタジット・レイのオプー三部作完結編 
ひたむきに生きる主人公の歩みが胸に迫る
両親を亡くしたオプーは大学から社会に出て自立し、就職難と闘いながら作家を夢見て自伝的小説を書きはじめる。たまたま知り合った裕福な家の娘との幸福な結婚生活もつかの間、妻は早産で死に、絶望のどん底に落ちたオプーは小説の原稿を破り捨てて放浪の旅に出る。時は流れ、亡き妻が遺した幼い息子に出会い、はじめ敵視していた息子は笑顔を見せ、親子の絆に大樹のような生きがいを見いだす。ラストシーンの感動は忘れがたい。
<作品情報>
1959年インド年間最優秀作品賞
1960年イギリス・サザーランド賞
1961年アメリカ・ナショナル・ボード・オブ・レヴュー最優秀外国映画賞
 

 
  • 原題:APUR SANSAR
  • 監督:サタジット・レイ
  • 脚本:
  • キャスト:ショウミットロ・チャタージ/シャルミラ・タゴール 
     
  • 製作年:1959年
  • 製作国:インド

サタジット・レイ、インドの監督ですね、カルカッタ生まれのね。
このサタジット・レイの『大樹のうた』ですね。オプーはだんだん大きくなりましたね。大きくなって、やがて彼女を迎えることになりましたね、このあたりがいいんですね、お金持ちじゃないんですよ。

オプーは教育家ですね。小さな家におるんですね。花嫁さんとオプーの仲のいいとこがとってもよかったなあ。金持ちじゃないんですね。兄弟、夫婦が一緒に寝てるんですね。そして奥さんの方が、新嫁の方が早く起きるんですね。
オプーが寝てる間に、「おきるよ」っていうんだけど起きられないんですね。
どうしたんだって見たらね、オプーが寝てる間に花嫁さんと自分の寝巻の紐を結んでたんですね。

「まあ、やらしい、こんなことしてたの」なんて言って嫁さんが笑うとこあるんですね。まあ、日本の歌舞伎と同じですね。「恥ずかしいわ」って。
そこで紐をはずして庭へ出て、コンロに火入れてごはんつくるところがいいんですね。そういうあたりの二人の仲のいいところ、だんだんオプーが大きくなるところが見事ですねえ。

この映画『大樹のうた』、だんだん樹が大きくなって太くなって立派になるあたりがおもしろい。
どこがどうと言えませんけど、この人の、サタジット・レイの映画、ちょうど日本の内田吐夢の作品とそっくりですね。見事にどんどん時代が変っていくところがいいですね。

このサタジット・レイという人、私好きですけど、アメリカに行った時にこの人の映画一本やってたんですね。
それ観たときに、ずーっとお客が並んでたんですね。僕も並んだんですね、ニューヨークで。そうすると、前から十番目の人が僕の方を見て「おいでおいで、ここへ入れてやる」なんて言って。そんふうに映画ファンがいっぱい並んでるとこを見たら、どんなにニューヨークでサタジット・レイが大事に尊敬されてるかわかりますね。

そういう訳で、サタジット・レイという人はみんなに愛された人ですね。
この人の作品で、どれもこれもいいですけど、私は『チェスをする人』、これを観た時になんていい監督だろう思いましたね。
二人の太った人がね、チェスをやってるんですね。もう何にも考えないで二人がじーっと将棋盤見て将棋やってるところの風景がいいんですね。

どっちも太ったおっさんで、ヒゲはやしたおっさんが、じーっと将棋をやっている。その着物が絹で奇麗ですね。
嫁さんが、ちっともかまってくれない、将棋ばっかりやってと文句言ってるところを二人の男が将棋している品格がすごくいいんですね。

「インドの映画いうのはみんな大衆的で、メロドラマで、もうほんと仕方がない」いう風な評判でしたけど、このサタジット・レイは、インド映画といってもハイクラス、トップですね、世界的なトップですね。
そういう意味でサタジット・レイは、本当に凄い監督ですね。

私は、『チェスをする人』を観て、この風格、サタジット・レイの風格に酔いましたね、いい監督だなあと思いました。
インドでこんな監督が生まれたということは、映画の歴史で本当に大きく、大きく、残すべきことですね。 

【解説:淀川長治】

大樹のうた [DVD]Atacched File


サタジット・レイ監督3部作の完結編。大学を卒業した作家志望のオプー(ショーミットロ・チャタジ)は、北カルカッタで友人の妹と結婚。だが妻は子供を残して死んでしまう。絶望した彼は放浪の旅へ。時は流れオプーは亡き妻の残した幼い息子と出会う。人間の成長過程の中でインドの家族制度を見つめた完結編だが、父子の絆に目覚めるラストシーンはまさに感動的だ。

(解説:岡田 喜一郎)


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