淀川長治:明治、大正、昭和、平成にかけて生涯現役、映画一筋に生きた不世出の映画評論家 - 世界クラシック名画撰集

淀川長治:明治、大正、昭和、平成にかけて生涯現役、映画一筋に生きた不世出の映画評論家
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チャップリン作品集2

 


Atacched File
チャップリン作品集2
CHARLES CHAPLIN SELLECTION 2
 
愛と人生、パントマイム珍芸の動きにギャグとペーソスを練り込むチャップリンの才能が爆発
<収録作品>
?チャップリンの拳闘?チャップリンの失恋?チャップリンの改悟
<作品情報>
【淀川長治解説映像付き】
Atacched File
  • 原題:
  • 監督:チャールズ・チャップリン
  • 脚本:
  • キャスト:チャールズ・チャップリン 
    製作年:1915年-1916年
  • 製作国:アメリカ
 
 

チャップリンの『改悟』『失恋』『拳闘』ですね。
もうこれは、本当にチャップリンを知るのは見事な作品ですね。

で、『拳闘』はもう、御覧になっったらわかるように、拳闘自身がおもしろいんですね。
もう拳闘がなんとも知れん、おもしろいんですね。
で、これは当時のオールスターキャストなんです。
コメディの連中の顔ぶれの花形が、みんな出ているんですね。大騒ぎ。
けど、チャップリンの演技がすごいんですね。

『失恋』は、チャップリンの映画の代表作品ですね。
この作品がチャップリンを知るには最もいいんですね。

で、この映画、チャップリンの『改悟』。この頃私は、チャップリンの映画好きじゃなかったんですね。みんな、なんか恐かったんですね。なんか変だった、変だいうのおかしいですけどね、ただ笑えなかったんですね。
というのは、チャップリンがもうこの頃既に社会の皮肉な事、風刺、それをうんと入れてたんですね、コメディの中に。
で、この映画もそのチャップリンの恐いドラマ、シナリオが入ってるんですね。

チャップリンが牢獄から出てきたんですね、放免されて。
「あぁ、もうこれで自由だ。わしはもう自由になったんだ」喜んだんですね。で、喜んで深呼吸したんですね。そこへ向こうから牧師が来たんですね。
「あっ、向こうから牧師が来た」と思ってると、牧師が側に寄ってきてバイブルをひろげて、チャップリンの頭に手をやって、「おまえは、もうこれから幸せになるんだよ。改悟したんだから、おまえは本当に悟りを開いたんだから。これからおまえの世界は広がっていくよ。おまえは真人間になったんだよ」そういう事を言ったんで、チャップリンはね、もう涙がポロポロ出てきたんです。ありがたくて、ありがたくて。

けど、ハンカチがないから、牧師さんの髭で眼を拭いたりするんですね。
チャップリン喜んで、「あぁ良かったなぁ。ああいうに悟しを受けたから、良かったなぁ。」
改めて、喜んで歩いて歩いていく道で、一人の酔っ払いが、なんか電柱にぶらさがって懐中時計をぶらんぶらんしとったんですね。で、チャップリンまた盗ろうと思ったんですね。
けど、さっき悟し聞いたところだから、もう盗ったらイカん、盗ったらイカんよと盗らないで、ぶらんぶらんしてるの。

手出したら盗れるのに盗らないで、八百屋行って、あのリンゴくれ、あのバナナくれといって囓っては「これはまずい、あれはまずい」ってやってたから、その八百屋さんが怒る。「おまえ、なんだ。金持ってるのか」言うと、チャップリン、「うん、持ってるよ」。

牢獄で働いて働いて、少し貯金が出来たんですね、牢獄の中で。
それを出そうと思ったら、ぜんぜんなかったんですね。
「えっ!? 金がない、金がない」「馬鹿野郎、おまえはただで噛りやがって、出てけ」って怒られて、表に出て元の方へ帰ってきたら、途中であのぶらんぶらん、ぶらんぶらん時計が揺れてった時計がなくなってるんですね。

「あ、泥棒だったんだ。これも泥棒だったんだ。あっ、あの牧師さんが泥棒か。うーん」というような映画なんですね。
恐かった。

子供ながら観て、映画の中で今まで観た映画の中で、牧師が泥棒だいうのは一本もなかった。この映画一本だけ。
チャップリンはいかにすごい鋭い眼で映画観てたか、そしてよく検閲がこれ通したな、という風な『改悟』は、見事なチャップリンの何とも知れん社会への針ですね。針を突き刺した映画でしたね。 

【解説:淀川長治】

チャップリン作品集 (2) [DVD]Atacched File


 

チャップリンはキーストン社で35本の短編喜劇に、監督(全部ではない)・出演し、その後エッサネイ社に移る。キーストン時代はアメリカの活動写真の喜劇スターになるためにガムシャラに動いた時代だったが、これを契機に自らの喜劇を模索し始める。本作は通算38本目。ドタバタから味わいのある喜劇への脱皮が見られラストのボクシングシーンが面白い。相手役はチャップリンが見出したエドナ・パーヴィアンス。

(解説:岡田 喜一郎)


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