淀川長治:明治、大正、昭和、平成にかけて生涯現役、映画一筋に生きた不世出の映画評論家 - 世界クラシック名画撰集

淀川長治:明治、大正、昭和、平成にかけて生涯現役、映画一筋に生きた不世出の映画評論家
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邂逅(めぐりあい)

 

Atacched File 
邂逅(めぐりあい)
LOVE AFFAIR
 
世界の映画ファンはこの映画の「甘い恋」に恋をした。『めぐり逢い』『めぐり逢えたら』の原点、不朽の名作恋愛映画
清らかな情緒をたたえるロマンティシズムの香り。とろけるばかりにスイートな恋愛映画史上不朽の名作である。大西洋航路の豪華客船に乗り合わせたパリのおシャレな紳士とアメリカ人の美しい歌手。恋は燃え上がり、ニューヨークに着いても離れがたく、6か月後に再会を約束する。冷たい運命に恋は引き裂かれ、雪のクリスマス・イヴにめぐり逢う名ラスト・シーンへ。シャルル・ボワイエの色気とアイリーン・ダンの気品。巨匠レオ・マッケリー監督が自分でリメークしたのが「めぐり逢い」、また「めぐり逢えたら」のヒントにもなった。
<作品情報>
淀川長治解説映像付き
1939年アカデミー賞作品賞ノミネート

 
  • 原題:LOVE AFFAIR
  • 監督:レオ・マッケリー
  • 脚本:
  • キャスト:アイリーン・ダン/シャルル・ボワイエ
  • 製作年:1939年
  • 製作国:アメリカ

レオ・マッケリー監督の名作の『邂逅』、この話をしましょうね。

この映画、後にまた映画化されましたね。私はこの映画観て、本当に鬼の目にも涙、もう思わず涙が落ちました。というのは、奇麗な奇麗なお話なんですね。

一番最初は、シャルル・ボワイエとアイリーン・ダン、これ演りまして、レオ・マッケリー、奇麗なお話。二度目はケーリー・グラントとデボラ・カーでしたね、見事な映画。これはね、お船の中でね、全然知らない同士が「こんにちは」「こんにちは」、昔は船は三日も四日も五日も航行しますね、そして知り合いになっちゃった。そうして話してるうちに、一人は画家だったの、で、片っぽが「また、あんたとお会いしたいですねえ」と言ったの。

そういう訳で、まあ非常に仲良くなったの。
けれども、右と左に別れて上陸しました。でも約束したの、二人がね、「いっぺん会いましょうね、あのエンパイアステートビルの上で会いましょうね」と言ったの。

そうして男は喜んで、その時間に行ったのね、12時15分に。女の方も喜んで、12時15分にそこへ行くんだいうんで飛んでいったんですけど、そのエンパイアステートの足元で自動車がぶつかっちゃって、この女の人は足わるくして、上へ上がって行けない、病院へ行っちゃったのね。

「あたい、むこうへ行きたいの、あの屋上へどうしても行きたいんだ」言うんだけど、「だめです、あんただめです」と言うので行かれなかった。
上では一時間、二時間、三時間、四時間、五時間、待ったのね、とうとう来ないから、がっかりして帰って「ああ、とうとう来なかったなあ、あの人は口先だけだったなあ」いうようなとこ、あったんですねえ。

そういう風な映画、最後はまた再会するんです。二度目の方のデボラ・カーとあのケーリー・グラント。これもその通りの映画だけれど、同じ監督ですから、奇麗な、奇麗な映画になったのね。これも涙出ましたよね、これも良かった。

みなさんもうご存知でしょうけど、二人が会わない、男の方はがっかりした。女の方は「会いたい、会いたい」思うのに会えない、足が悪くなっちゃった。男は「やっぱりあの人、来なかったなあ、がっかりだなあ」と思って、そしてそれが最後の最後に再会するところ、雪の日に、凄かったなあ。

という訳で、この映画は見事な愛の映画。けれどもメロドラマというには、あまりにも上等な映画でしたね。それで皆さん、この『邂逅』をご覧になったと思いますけど、これ又きっと映画になるでしょう。その位美しい映画でした。

最後の方で、奇麗なあの女の人はどうしてるだろうか思ってました。そうすると、この絵描きが絵の展覧会で絵を出したの。その時に女の人が絵を買って帰った。「あら、ありがたいな」と思いました。
それからしばらくして、その彼女に会った時に、彼女は足が悪くって椅子に座ってました。
「そうか、あんたやっぱり足が悪かったなあ」思って、ずーっと上見たら自分の描いた絵が飾ってあったの。「あの時来たんだね、あの時来て買ってくれたんだね」いうようなラストシーンが確かあったと思います。あれが凄かったな、いいラストシーンでしたね。

という訳で、『邂逅』は、みなさん何度観ても涙があふれますよ。
ところでアイリーン・ダンの事を、一言いっておきましょうね。
この人は上品で非常に奇麗な女の人、けれどもいつも何かあわれを、どっかに匂わせる女の役が良かったんですね。

で、アイリーン・ダンの最もの代表作品は『裏町』、これが良かったんですね。
これは大事にしてもらった旦那さんに、二号さんですね、大事に、大事にしてもらったけど、旦那が死んじゃたんですねえ、だからお葬式行けないんですねえ、二号さんだから。

それで、かげに隠れてお葬式拝んだんですね。そういうかわいそうな役演ったんですね。
ところがその息子、その金持ちの息子が、二号さんがいた事がわかったんですね。
調べてアイリーン・ダンの扮してるその女の所に訪ねて行ったんですね。
「あんたですか」と言ったの。

「はい、私が、あなたのお父さんに、とってもかわいがられたんですよ」、「そうですか。ところであんたは、いくら貰ったんですか」、直接に冷たい事言ったんですね。
「あんたは、お父さんから毎月いくら貰ったんですか」「これだけなんですよ」、見せたの、それが安い値段なんですね。
「毎月たったこんだけなのか、あんた、こんだけしか貰わなかったのか」言うところが、その息子とそのアイリーン・ダンが、いかにも哀れな顔が、二人の顔が良かったですね。

アイリーン・ダンというのは、そういう役で、非常に優しくて奇麗くて、しかもコケットな役を演ったんですよ。 

【解説:淀川長治】


邂逅(めぐりあい) [DVD]Atacched File
 

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